婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
「ごめん、圭司! ゆかりさんも一緒に捕まってるの。巻き込まないって約束したのに本当にごめんなさい!」
必死に謝るなつを見て、田島は愉快そうに笑った。
「さあ、どうする? 由香里を監禁した部屋に入るには指紋認証が必要だ。おまえが由香里を助け出すことは不可能だよ。でも、もしおまえが証拠を差し出し、なつを置いていくのなら、おまえと由香里は逃がしてやってもいい。だか、このままなつと逃げれば、由香里は間違いなく組長の愛人行きだよ」
ニタッと薄ら笑いを浮かべる田島を、圭司は無言で見つめていた。
「圭司。私のことはいいから由香里さんと逃げて!」
なつは大声で叫んだ。
圭司が幸せになればそれでいい。
なつには覚悟ができていたのだ。
けれど、何故か圭司はおかしそうに笑い出した。
「別に由香里なんてどうなったっていいよ。だってあいつは……青龍会のスパイだろ?」
「えっ! 由香里さんがスパイ!?」
「おまえ、気づいてたのか!」
なつと田島は同時に声を上げた。
「ああ。あいつは組長の娘でおまえの腹違いの妹だ。初めから罠だって分かってたよ」
「ぜ、全部芝居だったって分けか」
「あたりまえだろ? 俺が愛してるのはなつだけだ。
おまえ達を油断させる為にワザと引っかかってやってたんだよ!」