婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
と、圭司が声を荒げた時だった。
突然、『バン、バン』と銃声の音が鳴り響いた。
銃撃戦が始まった様子。
「警察が来たようだな。もう大人しく観念しろ」
そう言って立ち上がった圭司の目が、次の瞬間大きく揺れた。
「由香里!」
入口に拳銃を構えた由香里が立っていたのだ。
由香里はゆっくりと歩いてきた。
「私はね、圭司のこと愛してたの。初めは義兄の命令で近づいたけど、いつの間にか本気になってた。今更あんたになんか返してやらないから!」
由香里は銃口をなつに向けた。
「由香里、よせ!」
圭司の言葉より数秒早く、ゆかりは引きがねを引いた。
『バーン』
銃声がコンクリートの壁にこだまする。
けれど、目を閉じたなつの体はいつまでも痛みを感じなかった。
なつはゆっくりと目を開けた。
「えっ!! どうして…………」
なつの目に映ったのは、背中を撃たれて倒れ込む圭司の姿だった。