婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
圭司は咄嗟になつを庇ったのだ。
「圭司! しっかりして!」
なつは圭司の肩にしがみつき必死に呼びかけた。
流れていく大量の血。
「いやぁ~~!!!」
ゆかりは大きな悲鳴を上げながら床に崩れ落ちた。
「大丈夫ですか! 今、救急車を呼びますから!」
駆けつけた警察部隊が田島と由香里を取り押さえながら、圭司に声をかけた。
「圭司! お願いだから死なないで!私をひとりにしないで」
泣きながら手を握るなつ。
すると、圭司の目が微かに開いた。
「なつ………ジャケットの……中」
小さな声で圭司がなつに訴えかける。
「えっ? ジャケットの中!?」
なつは圭司のジャケットのポケットに手を突っ込んだ。
入っていたのは、なつがずっと探していた婚約指輪だった。
「圭司、これ…って」
「ああ。俺の愛の証だから………もう無くすなよ」
圭司は微かに口元を緩めたあと、ゆっくりと目を閉じたのだった。