婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
最終章
俺は夢を見ていた。
なつと二人で草原を旅している夢。
途中でなつがいなくなり俺は必死で探し回る。
しばらくして前方に川が見えた。
何故か川岸には白い着物を着た母さんがいた。
「母さん?」
俺の声を無視して、母さんはどんどん川へと入っていく。俺はあとを追いかけた。
すると、母さんはにこりと笑って俺の後ろを指差した。
振り向くと、泣いているなつがいた。
俺はなつにかけよって抱きしめた。
ふと振り返ると、母さんの姿は消えていた。
「圭司!もう何処へも行かないで!」
なつの声がした。
俺はそこで夢から覚めた。
*****
「圭司! 圭司!」
ぼんやりと白い天井が見えて、なつの声が聞こえた。
「なつ…」
なつの名を呼ぶと、ギュッと抱きしめられた。
「良かった…圭司。一週間も意識がなかったんだよ」
なつは涙を流しながら微笑んだ。
そうか。俺は助かったのか。
「心配かけてごめんな」
「ううん。今、先生呼んでくるからね」
なつは涙をふきながら病室を出て行った。
「やっと…終わったんだな」
俺は独り言を呟き、ゆっくりと目を閉じた。