婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
3日後、なつは再びアクアのドアを開けた。
「本日のご指名はどうなさいますか? 生憎、響の方はVIPルームからしばらく出てこれないかと」
先日の支配がなつに耳打ちする。
「はい。今日は拓哉さんをお願いします」
なつが答えると、支配人はかしこまりましたと丁寧に頭を下げ、なつを先日と同じソファー席へと案内した。
時刻は深夜0時。
今日も両親が寝静まった後、こっそりと家を抜け出してきたなつ。
なつにとって、ここに来るのは容易なことではなかった。
「なっちゃん、お待たせ。いらっしゃい」
拓哉がなつのテーブルにやって来た。
「うん。宜しくお願いします」
「よし、それじゃ、とりあえず。何か飲みながら作戦を練ろうか」
拓哉はそう言って、なつに飲みやすいカクテルをオーダーした。
「それ。ジュースみたいにゴクゴク飲めちゃうと思うけど、しっかりアルコール入ってるから気をつけてね」
ボーイが運んで来たカクテルを差して拓哉は笑った。
外見はチャラそうに見えるけど、意外と面倒見のよい拓哉。
男性が苦手ななつでも、不思議と拓哉になら何でも話せそうな気がした。
「今、VIP席にいる響さんのお客さんさ、1時になったら帰るんだよ。必ず下まで送るから、その時が話せるチャンスかも」
「うん」
なつは拓哉の言葉に頷いた。