婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
気がつくと、なつは控え室のソファーに寝かされていた。
「なっちゃん、大丈夫? どこか痛くない?」
拓哉が心配そうに覗き込んだ。
「あ……えっと、そっか。私、階段から落ちたんだっけ」
「そうだよ。ホントにびっくりしたよ。悲鳴が聞こえて駆けつけたら、階段の下で響さんとなっちゃんが倒れてたからさ。響さん、落ちてきたなっちゃんを咄嗟に庇ったみたいだね」
「えっ! 圭司が助けてくれたの!?」
なつは目を丸くした。
「そうだよ。なっちゃんも相当酔っぱらってたからね。一人で行かせた俺が悪かったんだけど、まさかあんな形で響さんに抱きついちゃうとはね」
拓哉は冗談っぽく笑った。
「そ、それで、圭司は? 圭司は大丈夫なのかな!?」
なつは青ざめながら拓也の腕にしがみつく。
「えっ、ああ、響さんなら大丈夫そうだよ。もう店にも出てるしね」
「よかった」
なつはホッと胸を撫で下ろした。
「実は私ね、階段を下りてる途中で、圭司がお客さんとキスしてるのを見ちゃって、驚いて足を踏み外しちゃったの。圭司……お客さんと付き合ってたんだね」
「いやいや、なっちゃん。ホストなら、キスくらい求められればいくらでもするよ。特に響さんは、指名を取る為に客と寝てるって噂もあるしね」
「えっ!?」
「あっ……」
拓哉はハッとして口を押さえた。
「ご、ごめん。なっちゃん。これはあくまでも噂だから」