闇の月光moon×Sun
『オイ!!待ちやがれ!!逃げんじゃねー!!』

『どこ行きやがった!!』

『まだ遠くには行ってねぇ!!近くを捜しまわんぞ!!』




………………。


男たちが遠くへ遠ざかるのを見守ると
少女は建物の影に隠れるように
その場から離れていくことにした。

まだ幼さの残る童顔からして、

少女は10代半ばに思える。



男たちはもうその場にはいないが

少女は警戒を緩めず、辺りを確認すると
壁にもたれ掛かった…。

顔には表情はない、

だが 少女の口端が
強く引き締められてる所から

何かに苦しめられているのは誰にでも
察しがつく。

頬にはさっき走ったせいか
汗が流れていた。

もしくは
涙なのかもしれない…。

少女は疲れてダルい体を動かし

一瞬夜に浮かぶ満月を仰ぎ見た。


その瞳には哀しみが舞い踊っている
ように見えた気がした。



そして重い体を立ち上がらせ
暗闇の中へ走り去っていった…。



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