【短編集】秘密
「千春ー、聖南の文化祭行かない?」

教室でお弁当を食べているとき、桂 夏奈子が声をかけてきた。


「え?聖南?」

「そうそう」

うんうんと頷く夏奈子はにまにまと頬を弛めている。


その理由がしばらく思い当たらなかったのだが、ぴんときた。


「ああ、───洋?」


洋は夏奈子の彼氏だ。


確か中学の冬に付き合いだしたのだ。

「ね、千春いいでしょ?」

何で私が、とは言えなかった。

洋とは私も仲が良く、今でもメールのやりとりをしている。

まさに友達以上、恋人未満。
何で私がこんなこと、なんて思ってしまったが洋の学校を見たい気もする。

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