【短編集】秘密
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家に帰ると、洋からメールが来ていた。

【夏奈子が自分の勝手な嫉妬で千春にイヤな思いさせたって言ってた。俺のせいでごめんな】

「え、あ、何で………」


次から次へと涙が溢れてくる。


本当はずっと分かっていた。

分かっていたんだ。

好きだよ、洋。

「大好き、だったのにっ…」

『千春、好きだ』

夏奈子と付き合う前のこと。

あの時の洋の声が頭に甦る。

気づくのが、認めるのが。

全部全部、遅すぎたんだ。

勝手だ。

大好きよ、洋。

これはずっと、私と洋の秘密。




窓際。
今も、水風船が揺れている。


Fin.
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