太陽に恋をして
「ありがとうございました」

店長とレッスンに付き合ってくれた沙耶さんに、二人揃ってお辞儀をする。

百貨店で働いてるだけあって、楓佳のお辞儀姿はきれいだ。

楓佳の髪はきれいな栗色に染まって、背中まであった髪は５センチほど切って揃えた。
伸びていた前髪がすっきりして、楓佳はどことなく嬉しそうに見える。


「楓佳ちゃんもいるから、今日は帰れよ」

桐谷店長の言葉に素直にはい、と返事して、私物をロッカーから取って戻ってくると、西澤さんやその他数名のアシスタントが先輩に教えてもらいながら、カットの練習をしていた。


「お先に失礼します」

スタッフに声をかけてから、自動ドアを慎重に開けると冷たい風が吹いて、寒がりな楓佳は俺を盾にして震える。


「シュラスコ、早くいこう」

背中でか細い声を出す楓佳がかわいくて、俺ははいはい、と返事をした。
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