太陽に恋をして
万博公園の入場券を買って、中央の入り口から入ると、真正面に太陽の塔が見える。


相変わらずでかいなぁ、なんて見上げながらぶらぶら歩いた。


待ち合わせの時間まではもう少しある。


楓佳は元気かな。


新幹線が動き出して、すぐに俺は後悔をした。
楓佳が俺から離れていく。
今まではずっとそばにいたのに。


楓佳のために、いつもポケットに入れて暖めていた手も、もう暖める必要がないんだと思うとどうしようもなく寂しかった。

猫舌の楓佳に合わせるために、ゆっくり食べていたラーメンも、その必要がないと思うと食べる気にならなかった。

黒っぽい服を着た、髪の長い女の子を見ると、楓佳なんじゃないかって振り返って、そのたびバカみたいに落ち込んだ。


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