太陽に恋をして
「ふぅちゃん、大好きだよ」


二人でいることが嬉しくて楽しくて、俺も笑った。
笑った拍子に、勢い余って芝生の上に楓佳と二人で倒れ込んだ。


「ふぅちゃん、俺東京に帰るわ」


芝生の上に寝転ぶ楓佳を上から見下ろす。


「まだ二週間だよ?大丈夫なの?」


「いいんだよ。水が合わないんだって言うから」


なんのこと?
言いながら、楓佳はまた笑って泣いた。


「本当にしょうがないな、ゆづは」


そうだよ、俺は本当にしょうがないんだよ。
だから、楓佳がそばにいてよ。


「ふぅちゃん」


楓佳の目尻から溢れる涙を親指でぬぐってやる。



「なに?」


「キスしていい?」


「ダッ…ダメに決まってるでしょ!ファーストキスなんだからね」


真っ赤になりながら、芝生の上でじたばたする楓佳の両手を掴み、俺は楓佳にキスをした。


だってファーストキスじゃないし。



「ゆづのバカー!」

そっと唇を離すと、楓佳はそう叫んでぷいっと横を向いた。
ごめんね、と謝りながら、今度は頬にキスをする。



「ゆづみたいなしょうがない人を好きになるのは私くらいなんだからね」


犬の頭を撫でるように、楓佳は俺の頭をわしゃわしゃと撫でて、眩しそうに目を細める。



遠くで子どもたちのはしゃぎ声が聞こえる。

青い空と若草色の芝生。

春の風。

太陽の塔。


楓佳。





これからも俺は君と生きていく。






end


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