太陽に恋をして
楓佳は首をぐるりと回して、小さなあくびをする。

それから、俺のパソコンデスクを見て


「あれ、まだあったんだ」


デスクに飾ってある高さ20センチほどの太陽の塔のミニチュアを指差す。


小学生の頃、家族で大阪に旅行した時に万博公園でかってもらった、限りなく忠実なレプリカだ。


「そ。もはや仏像扱い」


俺は太陽の塔に向かって、手を合わせてみせる。


「見せて」


漫画を裏返した楓佳は、立ち上がると太陽の塔を手に取り、正面の現在を現すと言われるインパクトのある顔を見て、


「すごい顔」


感心したように、呟く。


「ふうちゃんに似てるだろ?」


「ちょっと!!どこらへんが?」


「口が。ふうちゃん、考え事してるとき、そんな口するじゃん」


「こんな口、しないし」


「するって。唇とがらすじゃん」




俺が言うと、楓佳は悔しそうに黙った。
本当はこんな変な口はしてないけど。
唇をとがらすのは本当だから。

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