太陽に恋をして
「ふぅん。ゆづくんには内緒ってわけね」


「内緒だなんて…。行ったあとにちゃんと言いますよ。じゃないとゆづ、すねるから」


「行ったあとに言ったら、もっとすねると思うけど…」


だけど、どうしたって私は唯月には秘密事が出来ないと思う。
唯月だってきっとそうだ。
どんないいことも悪いことも、私は唯月と共有してきたし、きっとこれからもしていくと思う。



「なーんか、ゆづくん哀れだなぁ…」


加奈さんの言葉に、私は心外だと言い返す。


「だから、行ったあとにちゃんと話して、そのお店に行きたいってゆづが言ったら今度ちゃんと連れていきますって」



「違う違う、ぜーんぜん違う」


加奈さんはぶつぶつ言いながら、レジ裏のバックヤードに入っていった。

なにが違うと言うのだろう。
唯月にお土産でも買えばいいのかしら。
加奈さんは一体なんのことを言っているのだろう。



ふと鏡を見ると、唇を尖らした自分と目が合った。



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