太陽に恋をして
怒っている楓佳をかわして、脱衣場に入ると内側から鍵をしめた。
洗面台から楓佳のママが用意してくれた歯ブラシをだして、歯みがきしながらシャワーを浴びる。


出てくると、楓佳はまだ怒っていた。


「はい、ふうちゃんの歯ブラシ」


歯ブラシに、いちごの香りの歯磨き粉をつけて差し出す。
楓佳はもう大人のくせに、歩睦が使うような甘い歯磨き粉を使う。


「私、まだチョコ食べてるし」


楓佳はそれを受け取らず、並べたチョコを見ながら答えた。


「じゃあ、先に寝ます。おやすみ」


「こらっ!!なに勝手に寝てんの!?」


楓佳はしばらく怒っていた。

だけどそのうち、

「髪、乾かさないと風邪引くよ」

と言って、ベッドで寝転ぶ俺にドライヤーをかけてくれた。


「あゆあゆより手がかかる」


ぶつぶつ言いながらも、髪をさわる楓佳の手のひらは優しくて、楓佳からはチョコの甘い香りがして、俺はゆっくり目を閉じる。


もうすぐ今日が終わる。
今日も楓佳といられたことに感謝しよう。



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