太陽に恋をして
「ゆづの手って、いっつも暖かいね」


楓佳は嬉しそうに笑って俺を見上げる。


「さっき言おうとしたことなんだけど、柳原さんの目の中に、お花があるんだよ」


「目の…中に?」


「そう、瞳の中に一人一人違う模様があって、柳原さんはそれがひまわりみたいなんだよ」


そう言うと、背伸びをして俺の瞳をのぞきこんだ。


「ゆづにはないかな?暗いからよく見えないけど」


「たぶん…ないよ」



そうか、あいつは瞳の中にひまわりまで持ってるのか。


楓佳はあきらめきれない様子で何度も角度を変えて俺の瞳をのぞきこむ。


「あ、あとね。ゆづフォンダンショコラ好きでしょ?こないだ柳原さんが連れて行ってくれたお店のね、フォンダンショコラがすっごくおいしかったの。温かいフォンダンショコラにバニラアイスが添えられてね」



俺は温かくなった楓佳の両手をそっと離す。


「あとね、今日は熱帯魚がいるお店にいたの。なんだっけ、あのオレンジの…ニモの魚がかわいかった。あと、なまずの仲間かな、底の方に白い魚が砂を口にいれてエラから砂を出してたの。面白かった。柳原さんがね」


「ふうちゃん」



話を遮った俺を、楓佳は不思議そうに見上げる。


「なに?」



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