太陽に恋をして
「なんで今日はそんなによくしゃべるの?」


はらはらと空を舞う雪を見ながら、俺は聞く。


あいつといて楽しかったから?
俺といるより楽しかったから?


「…なんでって。だってゆづにも教えたいから。楽しかったこととか、おいしかったものとか」



そうやって、これからはあいつとのことも俺に聞かせるのか。
手をつないだとか、キスしたとかそんなことを。



「ふうちゃん、そんなこといちいち報告しなくていいよ」


真っ暗な空から降る雪が、俺の心に降り積もる。


重く重く。



「…でも」



楓佳は小さな声でいいかけてやめる。



俺は楓佳の頭と肩に積もった雪を払ってやりながら、なに?と続きを促した。



「…なんでもない」


「なんだよ、気になる」


「なんでもないよ」


楓佳は顔をあげて、少しだけ笑った。



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