太陽に恋をして
楓佳が俺を男として見ていないことは、なんとなく気づいていたけど、それでも一緒にいられるならそれでよかった。

ただ、俺の隣で楓佳が笑っていてくれたら。
本当にゆづはしょうがないなと言ってくれたら。


今日も一日、楓佳がいてくれた。
それを繰り返し、積み重ね、生きていけたらしあわせだと思っていた。



だけど、それは同時に苦しいことでもあると気付いた。

楓佳が俺以外の人に恋をして、俺以外の人に笑いかけて、俺以外の人の恋人になる日がいつか必ずくる。

楓佳のそばにいるということは、それを誰よりも間近で見なくちゃいけない。


楓佳もいつか結婚するだろうし、いつか子どもを生む日もくるだろう。


俺は…。
そんな楓佳におめでとう、と笑ってやれるのか。


おめでとう、と笑ってやれないのなら。



楓佳の隣にはもういられない。



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