太陽に恋をして
「楓佳は…美容院が嫌いなんです」
ガードレールにもたれて俺は目を伏せた。
足元のアスファルトの隙間から雑草が力強く生えている。
「俺がいなくなったらきっと限界まで我慢して、結局うちの店に来ると思うんです。そしたら、沙耶さんが切ってやってくれませんか?」
沙耶さんが、うんと頷くのが雰囲気でわかった。
「シャンプーの時、顔にかけるの、ガーゼだと嫌がるんでタオルで…」
ずれないように大きめに折ったものを。
「マッサージは肩甲骨のあたりを…。あいついつも肩甲骨が凝るんで」
首をするとこそばいって怒るから。
「あと、切ってる間は話しかけないでやってください」
『はさみがしゃきしゃきなる音が好き』
沙耶さんのはさみは俺よりもっといい音がするだろう。
「我が儘ばかり言いますが、よろしくお願いします。本当はかわいい髪に憧れてるんです」
顔を上げると、沙耶さんはわかったと頷いて、
「楓佳ちゃんは私が切る。唯月くんがお腹を下して帰ってくるまではね」
そう言うと大きな口を開けて笑った。
つられて笑いながら、きっと大丈夫だと思う。
沙耶さんならきっと、楓佳をかわいく切ってくれる。
ガードレールにもたれて俺は目を伏せた。
足元のアスファルトの隙間から雑草が力強く生えている。
「俺がいなくなったらきっと限界まで我慢して、結局うちの店に来ると思うんです。そしたら、沙耶さんが切ってやってくれませんか?」
沙耶さんが、うんと頷くのが雰囲気でわかった。
「シャンプーの時、顔にかけるの、ガーゼだと嫌がるんでタオルで…」
ずれないように大きめに折ったものを。
「マッサージは肩甲骨のあたりを…。あいついつも肩甲骨が凝るんで」
首をするとこそばいって怒るから。
「あと、切ってる間は話しかけないでやってください」
『はさみがしゃきしゃきなる音が好き』
沙耶さんのはさみは俺よりもっといい音がするだろう。
「我が儘ばかり言いますが、よろしくお願いします。本当はかわいい髪に憧れてるんです」
顔を上げると、沙耶さんはわかったと頷いて、
「楓佳ちゃんは私が切る。唯月くんがお腹を下して帰ってくるまではね」
そう言うと大きな口を開けて笑った。
つられて笑いながら、きっと大丈夫だと思う。
沙耶さんならきっと、楓佳をかわいく切ってくれる。