太陽に恋をして
なんだ。

一人で行くんじゃなかったんだ。


ずっと私がいなきゃダメだと思ってた。
唯月が頼りないから、私が着いていてあげなきゃって。


でも、いいんだ
私じゃなくても。

私がいなくても、唯月は大丈夫なんだ。
私がいなくても、唯月は…。




「ゆづなんて…。ゆづなんて大阪でも南極でも、どこでも行っちゃえ!!」



新幹線の扉がプシュと閉まった。
唯月は最後まで私に背中を向けたままだった。



新幹線は静かに動き始める。
大阪に向かって。

私から唯月が遠ざかる。



ホームのゴミ箱に、紙袋を投げ捨てた。

明日から、唯月はいない。



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