恋は夕焼けに溶けて
仁と洸
――放課後

「ごきげんよう」
「また明日ね、ごきげんよう」

私は友達と別れて、広い校庭の一角
白いハナミズキの咲くお気に入りの場所に向かった。


池に映る、美しい夕焼けを見るために。



近づくと先客がいるのが見えた。

邪魔をするのも、されるのも嫌なので、
私は少し離れた大きな木の影のベンチに腰を下ろそうとすると
声が聞こえてきた。


「だったらここで脱げよ」

聞き覚えのある低い声に
思わず振り返ると…


氷室仁の端正な横顔が、
数メートル先に立つ女の子を 冷ややかに見下ろしている。
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