シャイな彼女と月島くん
「さっきの、英語の答え…なんだけど…もし、かして」
無意識にゴクリと唾を呑んだ。
言ってみて、美月。
「月が、綺麗ですね…?」
やっぱり君には通じたな。
けどさ。
「惜しい」
窓辺を離れ、黒板に近寄る。
置いてあったチョークを握って、夏目漱石の和訳じゃない――俺の正解を書く。
「その月っていうのはね」
“I love you=美月”
「君のことだよ、美月」
目を見開いて黒板を見つめる彼女。
ゆっくりと近づいて、美月が座る席の机に両手をついた。
そのまま眼鏡越しに彼女の瞳を覗き込む。