天才陰陽師〜始まりの話〜
第二章
太陰の依頼が成功し、複雑な気持ちで帰宅した昌義の目の前には父親が立っていた。

「お父様、どうなさったのですか?」

昌義が不思議そうな顔をして問いかける。

普段はあまり部屋から出てこないのに、珍しい。などと昌義は考えていた。

しかも、表情がいつにもまして、真剣なのである。

「良くやったな、昌義。」

そう言うと、父親は満面の笑みを浮かべる。

昌義はそのほめことばが嬉しくて、笑顔で頷いた。

「しかし、」

父親の話にはまだ続きがあるそうだ。

昌義は嫌な予感がして、顔をしかめる。

「安倍晴明様は十二神将全員を従えておられた、昌義はまだまだだな。」

そう言い放った。

昌義の顔色が変わる、怒りである。

昌義にとって安倍晴明と比べられるのは一番不快であった。

そして、感情に任せ叫ぶ。
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