天才陰陽師〜始まりの話〜
「大方、晴明に遠く及ばないガキのおもりは嫌だとか言われたのだろうけどな。」

はっはっはっと笑う父親を見た昌義は、落ち込みと怒りが両方こみ上げてくる。

太陰、十二神将の風将の一人。

安倍晴明は十二神将を全員従わせていたと言う。

そのため、安倍家の跡取りは十二神将に呼びかけ、力を借りる。

昌義の呼びかけに答えてくれたのは太陰だけだった。

しかし、思いの外昌義が非力だったため命令には中々従ってくれない。

叫びそうになるのを抑え、ようやく口を開く。

「はい、そうです。でも、俺一人でも問題ないです。」

そう言って部屋を飛び出していった。

昌義は短気だなと父親は思っていた。

短気に拍車をかけているのは、父親なのだが、とうの本人は悪びれた様子もない。
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