天才陰陽師〜始まりの話〜
「おい、何が憎いんだ!」

奥のでかい黒い靄に語りかける。

昌義はどうにかして成仏させたいと思っているらしい。

それを太陰が眺めていた。

「あの霊は悪霊になってかなりの日が経っている。成仏は無理ね。時には心を鬼にすることも大切よ。」

そうつぶやいた。太陰のよみは的確である。

昌義はそんなことも知らず、成仏させようと必死だった。

未練を無くせば、霊は消える。それがセオリーである。

「おい、なにが憎い?」

昌義が問いかけると黒い靄が人の形になる。

どうにか、悩みを聞き出したい。もしかしたらどうにか出来るかもしれない。

昌義はそう考えていた。
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