白衣の変人
ほどなくして、例の施設に着いた。“R.O”と書かれた大きな看板の下の入り口には人が吸い込まれるように入っている。
「結構混んでそうだね~まずは一階のゲーセンからやる?それともスポーツ系?カラオケ?」
目をキラキラとさせながら真璃と墨原に意見を求めるが、墨原は相変わらず仏頂面を崩さないし、真璃はどこか遠い目をしている。三好はわざとらしく頬を膨らませ、ぶつぶつと言い始めた。
「も~折角来たんだから!もうちょっと楽しそうにしようよ!よし、ゲーセンから順番に制覇!ね。」
折角も何も、無理矢理連れてこられたんじゃないか!!と思ったが、勿論口には出さない。代わりに真璃の口からは溜息が出た。気持ちは一致しているのか、墨原からもほぼ同時に溜息が出る。
「溜息つかな~い。ほら、行こう!」
三好は真璃と墨原の間に立って手を繋ぎ、店の中に入って行った。中は学校帰りの学生などで賑わっていた。ゲームのBGMや効果音も店内に響き渡っている。
「どれやる?ここは定番からかな?それならこれかな~太鼓の名人!」
三好が指し示したのは太鼓が二つ並んだ誰もが知っている定番ゲーム。選んだ音楽に合わせて、出てくる指示通りに太鼓を叩くというものだった。
「よっし、対戦しよっか。まずは俺と真璃ちゃんからね~。」
ぐいぐいと強引に前まで連れてこられた真璃は、仕方なく備え付けのばちを取った。三好がお金を二人分入れて、有名どころの曲を選択した。難易度は三好は“難しい”で、真璃は“普通”。三好は慣れているのか、なかなかの腕だった。真璃も友人らとプレイしたことはあるが、なにぶん受験があったため久し振りだった。そのせいかミスが目立つ。
「……ふっ。」
そんな真璃を馬鹿にするように、後ろで見ていた墨原が鼻で笑った。この人は他人を馬鹿にすることしかできないんじゃないかというほどに、その笑みは真璃のはらわたを煮え繰り返した。
「……次は墨原教授がプレイしてはどうでしょう?相当腕に自信がおありのようですから。」
「ふん、いいだろう。」
真璃の挑発に、墨原はアッサリと乗った。ぐるぐる眼鏡にボサボサ頭、おまけにマスクと白衣。不審者と間違われそうないでたちの墨原は自然と周りの目を引く。いつの間にかギャラリーができていた。
「え、何あの人……なんかのコスプレ?イベント?」
「隣のイケメンと知り合いなのかな?あの人も白衣着てるし。」
「あれはないわ~……あんな格好でよく外歩けるよね。」
まあ、初見の反応としてはそうだろうと真璃も小さく頷く。当の墨原は周りの視線を鬱陶しそうにこそすれ、陰口を気にしている様子はない。あの格好でいつも大学の講義をしているのだ。慣れっこなのかもしれない。
「結構混んでそうだね~まずは一階のゲーセンからやる?それともスポーツ系?カラオケ?」
目をキラキラとさせながら真璃と墨原に意見を求めるが、墨原は相変わらず仏頂面を崩さないし、真璃はどこか遠い目をしている。三好はわざとらしく頬を膨らませ、ぶつぶつと言い始めた。
「も~折角来たんだから!もうちょっと楽しそうにしようよ!よし、ゲーセンから順番に制覇!ね。」
折角も何も、無理矢理連れてこられたんじゃないか!!と思ったが、勿論口には出さない。代わりに真璃の口からは溜息が出た。気持ちは一致しているのか、墨原からもほぼ同時に溜息が出る。
「溜息つかな~い。ほら、行こう!」
三好は真璃と墨原の間に立って手を繋ぎ、店の中に入って行った。中は学校帰りの学生などで賑わっていた。ゲームのBGMや効果音も店内に響き渡っている。
「どれやる?ここは定番からかな?それならこれかな~太鼓の名人!」
三好が指し示したのは太鼓が二つ並んだ誰もが知っている定番ゲーム。選んだ音楽に合わせて、出てくる指示通りに太鼓を叩くというものだった。
「よっし、対戦しよっか。まずは俺と真璃ちゃんからね~。」
ぐいぐいと強引に前まで連れてこられた真璃は、仕方なく備え付けのばちを取った。三好がお金を二人分入れて、有名どころの曲を選択した。難易度は三好は“難しい”で、真璃は“普通”。三好は慣れているのか、なかなかの腕だった。真璃も友人らとプレイしたことはあるが、なにぶん受験があったため久し振りだった。そのせいかミスが目立つ。
「……ふっ。」
そんな真璃を馬鹿にするように、後ろで見ていた墨原が鼻で笑った。この人は他人を馬鹿にすることしかできないんじゃないかというほどに、その笑みは真璃のはらわたを煮え繰り返した。
「……次は墨原教授がプレイしてはどうでしょう?相当腕に自信がおありのようですから。」
「ふん、いいだろう。」
真璃の挑発に、墨原はアッサリと乗った。ぐるぐる眼鏡にボサボサ頭、おまけにマスクと白衣。不審者と間違われそうないでたちの墨原は自然と周りの目を引く。いつの間にかギャラリーができていた。
「え、何あの人……なんかのコスプレ?イベント?」
「隣のイケメンと知り合いなのかな?あの人も白衣着てるし。」
「あれはないわ~……あんな格好でよく外歩けるよね。」
まあ、初見の反応としてはそうだろうと真璃も小さく頷く。当の墨原は周りの視線を鬱陶しそうにこそすれ、陰口を気にしている様子はない。あの格好でいつも大学の講義をしているのだ。慣れっこなのかもしれない。