白衣の変人
(いちいち嫌味を言わなくたっていいじゃん!!!)


また嫌味を言われたらたまらないので、真璃は心の中で叫んだ。そんな真璃を知ってか知らずか、墨原はそのまま話を続ける。


「それで、早速君が希望した木曜日の午後は講義がある。せいぜい遅れないようにしたまえ。以上だ。」


話はそれで終わりとばかりに、墨原は立ち上がって再び机に向かってしまった。真璃もそれに続いて立ち上がり、「失礼します。」と声を掛けて研究室を出た。研究室を出た途端、なんだか怒りやら後悔やらが真璃の心を支配した。


(いくら時給が良くても毎回毎回こんなに嫌味言われるんじゃたまったもんじゃない!どうしてこんなのに応募しちゃったんだろう……私の馬鹿!もう……木曜憂鬱だな~ばっくれちゃおうかな~。)


何も始まっていないのに、もうやめたくなった助手のバイト。それでも、お金欲しさと若干の罪悪感でばっくれることなどできはしない。





―――――これが自他共に認める変人教授と、いたって普通な少女の出会い
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