彼と私の秘密の恋
目を覚ますと、となりに幸多は居なかった。


「幸多っ!?こぉーたー!!」


私は泣きそうになりながら幸多を探す。



テラスに出ると、そこにはイヤホンをして海を見ている幸多がいた。


私はほっとして、幸多の隣に座る。
私に気づいた幸多が、イヤホンを外す。


「何聞いてたの?」


「んー?今アルバム作ってるんだけど、まだ歌詞が出来てなくてさ。ちょっと焦ってる。」


幸多、忙しいのに無理してくれたのかな?


そう思うと、申し訳なくなってくる。


そんな私に気づいたのか幸多は私を抱きしめる。


「俺、ずっと海見て、隣に琴音がいてってので歌詞書いてたから、スタジオとか海がないとこじゃ書けないの。プロ失格だね。」


そう言って幸多は、くしゃっと笑う。


「今日は、海も琴音もあるから書けそうな気がした。」


「で、書けたの?」


「んー?ちょっと書いた。でも琴音起きたしもうやめる。琴音と遊ぶ。でもその前に。」


幸多はそう言って私の膝に寝転ぶ。


「琴音。好きだよ。」


こんなに甘えてくる幸多は久しぶり。


ちょっと疲れてるのかな…。


「幸多、大丈夫?」


「んー。まぁね。仕方ないことだけどね。ただ俺は、歌を歌えればよかったんだけどな。…なんか最近テレビ多いし。トークは出来ないし、無理に笑えないし。…移動の車の中でなんて歌詞書けないよ。」


幸多は、寝転びながら私の髪の毛をクルクルと遊ぶ。


「幸多…」


「…なーんてね。ちょっと毒吐いた。こんな事言えるの琴音だけだし。贅沢な事言った!よしっ!せっかくだし、海でも行くかっ!」


「うんっ!!」



私と幸多は、水着に着替えてプライベートビーチへ向かった。














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