彼と私の秘密の恋
ステージでの幸多は本当にかっこよかった。
会場もすごい盛り上がりで、幸多達が本当に人気があるんだってわかる。


隣にいる、恐らく幸多のファンの子は途中、涙していることもあった。


幸多、本当にすごいね。
こんなにたくさんの人達に音楽を聞いてもらえて、応援されて、そして愛してもらえて。


私の席からでは、遠すぎて幸多の姿を見ることは出来ないけど。


幸多、本当にかっこいいよ。




そしてライブの最後、幸多があの日私といる時に書いた曲が始まる。



会場が一体になるような、すごくいい雰囲気で本当によかった。


でもね。


私は思ってしまったんだ。


この曲を歌わないで。
私の為だけに歌ってよ。
他の人に聴かせないで。


私の幸多を盗らないで。



「……っつ。最低だ。私。」



もう、潮時かもしれない。
このままじゃ、幸多を応援する事も出来ない。
彼氏を応援できないのなんて、彼女失格だよね。


そんなの嫌だよ。


私はいつまでも幸多の一番のファンでいたいし、応援したい。


幸多。


私はこれからも幸多を応援するよ。


でも彼女でいたら出来そうにない。


お別れだね。



モニターに写る幸多の顔は私が大好きだった少年のような笑顔で。


その笑顔が私の決心を鈍らせるけど、先に進むこと決めたから。


「……幸多、バイバイ。」





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