●飴森くんの王子。
◯白の王子は飴森くんの幼馴染みであり許婚である。
*
「母さん、行ってきまーす」
ドアを開けると新緑の香りが家の中に流れ込んで、
空気の爽やかさに清々しさを覚えながら家を出る。
今日は月曜日だから朝練もないし、
ゆっくりと登校できるからあたしは好きだ。
朝練の時間帯だと歩く人も少ないからあんまり女の子が歩いてないんだよね。
だから朝練って眠い上に目の保養がないからホント辛い。
よし、今日は思う存分朝から女の子を満喫しよう!
鞄を持ってあげたり、会話に花を咲かせたり……うんうんいいね!
「相変わらずキモい顔してんなー、ユウは」
「――――は?」
不意に背後からそんな声がして、
直後にバシッと遠慮ない叩きが後頭部に飛ぶ。
振り返らなくとも声と行動だけで主が分かる。
いやぁね、もう毎回毎回うんざりなんだけど!
痛みに頭を押さえながらあたしは、振り向き際にヤツを睨んだ。
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