●飴森くんの王子。
失礼にもほどがありすぎるだろ! 神経図太すぎだろ細身のわりに心は太いな!
どうやったらこうズケズケと言えるんだよ!?
もうそろそろ殴っても許される範囲じゃないかな。
あたしは女の子には手を出さないけど男子は当然別だ。
寛容なのは女の子だけで充分だよねそうだよねそうだな。うん。
「だとしたら僕と同類のぼっちだよね。かわいそ」
お前に同情されたかないわ! かわいそとか哀れんだ目で見るのやめてくれる!?
え、なにしかも同類て!! 同類って悲しすぎるね全面拒否するからね!
「というか君って本当に女子なの?」
……うん?
「女子要素どこにあんの? 皆無じゃない?」
……うん?
「スカートはいてたらフォローできたけど、かわいそ。どこからどう見ても男子だね。かわいそ」
「こ、こんのうるっさいわボケぇぇええっ!!」
黙って聞いてりゃ好き勝手言ってんじゃねぇよバカ野郎!
あたしは別に今のままで充分満足してますわ!!
あとかわいそをだめ押しみたいに繰り返すなイラつくだろ!
「あたしに文句あるならもっとでかい声で言えよ!!」
「……君は少しうるさすぎじゃない?」
フードマンが相変わらず前を向いたまま、言葉を零した。
いやいやいやいや、あんたがあたしにケンカ売るような言葉を言うからだろ。
誰だって怒りのボルテージマックスで叫ぶだろ喚くでしょ普通。
「タイムプレイスオケーション。考えなよね」
フードマンが呆れたように呟く。
はぁ? と首を傾げた。のと同時に、
「飴森ぃ、朝から元気だなぁ。あとで前来いよ」
教卓に頬杖をつきながら中野先生がニッコリ、と機械的な笑みを浮かべていた。
おおうこれはこれは…………、確実に死んだなあたしグッバイマイライフ。