●飴森くんの王子。

 


失礼にもほどがありすぎるだろ! 神経図太すぎだろ細身のわりに心は太いな!
どうやったらこうズケズケと言えるんだよ!?




もうそろそろ殴っても許される範囲じゃないかな。
あたしは女の子には手を出さないけど男子は当然別だ。
寛容なのは女の子だけで充分だよねそうだよねそうだな。うん。

 


「だとしたら僕と同類のぼっちだよね。かわいそ」


 

お前に同情されたかないわ! かわいそとか哀れんだ目で見るのやめてくれる!?
え、なにしかも同類て!! 同類って悲しすぎるね全面拒否するからね!

 


「というか君って本当に女子なの?」

……うん?

 


「女子要素どこにあんの? 皆無じゃない?」

……うん?

 


「スカートはいてたらフォローできたけど、かわいそ。どこからどう見ても男子だね。かわいそ」

「こ、こんのうるっさいわボケぇぇええっ!!」


 


黙って聞いてりゃ好き勝手言ってんじゃねぇよバカ野郎!
あたしは別に今のままで充分満足してますわ!!
あとかわいそをだめ押しみたいに繰り返すなイラつくだろ!


 


「あたしに文句あるならもっとでかい声で言えよ!!」

「……君は少しうるさすぎじゃない?」

 


フードマンが相変わらず前を向いたまま、言葉を零した。

いやいやいやいや、あんたがあたしにケンカ売るような言葉を言うからだろ。
誰だって怒りのボルテージマックスで叫ぶだろ喚くでしょ普通。

 


「タイムプレイスオケーション。考えなよね」

 


フードマンが呆れたように呟く。
はぁ? と首を傾げた。のと同時に、

 


「飴森ぃ、朝から元気だなぁ。あとで前来いよ」

 




教卓に頬杖をつきながら中野先生がニッコリ、と機械的な笑みを浮かべていた。
おおうこれはこれは…………、確実に死んだなあたしグッバイマイライフ。


 

< 11 / 31 >

この作品をシェア

pagetop