●飴森くんの王子。
ガックリと首を折るあたしの隣でくっくと微かに笑う声。
バカにしてる、バカにしてるぞこいつ……!
絶対に人の失敗や不幸を糧にして嘲笑しながら生きてる人種だぞこれ。
実に黒い。どす黒い、腹黒すぎる…………。
それにあたしにだって小さい頃、女の子の友達がいたんだからな!ひ、1人だけだけど。
おしとやかで可愛くて、お人形さんみたいで思わずギュッとしたくなる女の子。
ちょっと泣き虫で、あたしの背中にくっつくようにして歩いて
リューをいれながら3人で公園で遊んでたっけ。
名前は確か……みーちゃん?
いつも、いつでも一緒にいた気がするけど、
いつの間にかいなくなっちゃったんだよな……?
「でも、君のこと…………羨ましいとか、思ったりするよ」
フードマンが小さく言葉を零した気がしたけれど、
あたしには聞き取ることができないくらいの呟きだった。
まぁ、どうせ嫌味でも言ってたんだろうからほっとけばいっか。
そういうのは敢えて聞き返さずスルーするのが一番だもんね。
そう思ってあたしは、ようやく中野先生の話に耳を傾けた。