●飴森くんの王子。

 
 
 
 
「白石龍、君も見ただろ? ST後、飴森勇と黒崎帝が2人でどこかへ行くのを」
 
「…………」
 
 
 
 
その時のことを思い出すと、胸に何やら言い表せない痛みが走った。
決して気持ちいいものではない、不快な何か。
 
 
思わず眉根を寄せる。
 
 
 
 
「2人の進展を止められなくなるかもよ。そしたら君は後悔する」
 
「お前、何言って……」
 
「予感だよ、単なる。それに、幼馴染みだからって」
 
 
 
 
弧影は不意にこちらに顔を向けた。
だが影で顔を見ることはできなかった。
 
 
 
 
 
「――――1番近いとは、限らないよ」
 
「(…………っ、)」
 
 
 
 
 
そんなの、知ってる。
そんなこと、ずっと前から知ってるよ。
 
 
 
 
……俺はそれを、あのとき嫌というほど思い知らされたんだからさ。
 
 
 
 
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