アナザー・シンデレラ

仕組まれた運命

「夕食の準備が出来ました、どうぞこちらへ……」


シンデレラがリビングで談笑している父親たちにそう告げました。


食堂に行くと、そこには四人分の夕食が置かれていました。


「四人分?一人少ないんじゃないの?」


アナスタシアがニヤニヤと笑いました。

継母に入れ知恵をされたのか、アナスタシアは理由を知っているようでした。


「アナスタシア、これで全員分なんだよ。シンデレラは食が細くてね、食事はスープとパンだけで十分なんだ。私たちが食事をしている間にもこの子には仕事があるから、私たちと一緒には食べないんだよ」


父親がアナスタシアの肩に手を置き、笑いました。


「とっても働き屋さんなのね、シンデレラって」


ドリゼラが驚いたように言いましたが、シンデレラにとっては嫌味でしかありませんでした。

勿論、ドリゼラも嫌味と知って言ったのですが。



「さあ、早く食べよう。折角の夕食が冷めてしまう。シンデレラ、お前は洗濯が終わるまで夕食を食べるんじゃないよ」


父親に冷たく言われ、シンデレラは悲しそうな顔をして部屋から出て行きました。



――――ですが、部屋から出たシンデレラは恍惚の笑みを浮かべていました。












だから、それから数時間後、書斎で本を読んでいた父親が突然心臓発作で倒れ、数十分後に帰らぬ人となったのは、間違いなくシンデレラが仕組んだ父親の運命なのです。
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