先生、と呼べなくなる日まで。

『大体さ、お前はモテるんだから誕生日プレゼントのひとつやふたつ男にねだりゃいいじゃん』

倉島先生は、こういう砕けた喋り方をする人なのだ。

生徒に対してフレンドリー+若くて、この学校の中では比較的 格好いい先生、
ということで、上級生からは結構評判らしい。


『あー先生全然分かってないね!
あたしは、プレゼントを男にせがむなんて 無様な真似はしないの』

『輝プライド高いなー
恋愛偏差値 高そう笑』

『それがそうでもないんだよなぁ。長続きしないの、いつもいつも。
ほんとさ、恋するって難しいんだなー』




それは輝の口癖だった。

『恋するって難しい』

いつからそんなことを言い始めたのかは定かではないが、それに違和感を感じなくなる程度には、輝はその言葉を使っているということだ。



私はその言葉の意味を特に考えたことはなかった。

また輝自身も、深い意味はなくそれを言っていたのかもしれない。






さっきは山の頂上あたりにあった夕日はもう、四分の三以上が沈んでしまっている。


早く家に帰りたいなーさっさと終わんないかなー、と二人の会話を聞きながら徐々に姿を隠していく夕日を眺めていた。




その時だった。
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