先生、と呼べなくなる日まで。


『なあ輝、

恋はするものじゃなく、堕ちるものなんだよ』




その言葉を聞いた瞬間、私の中の世界が止まった。



その言葉は、ある有名な小説の中で著者が用いた言葉で、これまでにも何度か耳にしたことがあった。

けれど、私の中の世界が止まったのは、この言葉を知っていてそれに反応したからではない。





綺麗だ、と思った。

切ないな、とも思った。

そう思ったのは、『この言葉』ではなく『先生が発するこの言葉』でもなく。


きっと、『先生』に対してなんだろう。







そして、夕日は完全に沈んだ。
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