先生、と呼べなくなる日まで。
半開きのさびた鉄の校門に手をついて、肩で息をして呼吸を整える。

バクバクいってた心臓の音も段々と落ち着いてきた。



一息ついて さて、と ゆっくり歩き出そうとしたら、後ろから聞き覚えのある音がした。

聞き覚えのある、いや、私はきっと意識的にこの音を覚えようとしたのだと思う。





おさまったはずの心臓の音が、また鳴りだす。


テスト中の静かな教室だったら皆に聞こえてしまいそうなこの心臓の音は、
今私が一番聴きたかった音によって遮られている。







―――ブルルルルルルル…………



YAMAHAのシルバーのバイク、ナンバーは12-98









先生だ。
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