先生、と呼べなくなる日まで。
あの日は去年の5月22日だった。
なぜハッキリ覚えているのかというと、その日は親友、輝の誕生日だったからだ。
その日、顧問の下田先生の所用で部活がなかった私と輝は
放課後、校舎の3階のホールで話に盛り上がっていた。
お互い、部活で悔しかったことやクラスの子の愚痴をマシンガンのように散々喋りまくったので、満足し もう帰ろうという流れになった時だった。
先生が来た。
先生は3年生の副担任をしていて、
2年生で教室のフロアも違く 授業も受け持たれていない私は、好きとか嫌いとか判別する以前に、彼に全く興味がなかった。
新任の先生ということもあり新年度の集会で特に詳しく紹介されていたので、一応 顔と名前は一致していたが、他は何も知らなかった。