優しい黒魔女
第一章

愛すべき平穏

名の通り魔物がうじゃうじゃ蠢く森、「魔物の森」。

当然ながら何の身を守る術を持たない人々はこの森を恐れていた。

森に入る者はただの愚か者か、相応の実力を持ち修行の為に訪れる者か。

そんな森に一人、風変わりな女が住んでいた。



「こんなものかしらね」



小柄な女性がふう…とかいてもいない汗を手の甲で拭う。

小さな可愛らしいログハウスに住む酔狂な女の名を、マイコ・サトウという。

ひょんな事で6年前この世界に落ちてきたれっきとした純日本人である。
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