しかし、
その栄光は長くは続きませんでした。


Kを讃える者の中には、Kを嫌い、
冷たく突き放す者が現れた。


次第に人々は1人、また1人と、
王のもとを離れていきました。


「あの王様はどうかしてる」

「自分ばかりだ」

「横暴で、曲がり者の王様だ」



Kは知らなかったのです。


人を避け、
1人で強くあろうとしたKは、
人がどんなことで傷付き、どんなことで憤るのか、
ということに気付けなかったのです。


「何故いつも上手くいかない?」


Kはそんな疑問を自身に投げかけては、返ってくるはずのない答えを探していました。


人々の間では、
王に関わると怪我をする。
嫌なことに巻き込まれてしまう、と。
根も葉もない噂がたてられました。


その後Kがどんなに変わろうとしても、人々の偏見は根付いたまま。


Kは疲れていきました。


人々に嫌われるのならそれでもいい。
弱っているところを知られれば、ますます王としての尊敬は削がれてしまう。


そう思ったKは弱さを隠し、
常に強い自分を見せようと努めるようになったのです。

本当の強さを履き違えたまま。


そんなKの周りには最早、
人々の姿はありませんでした。

< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop