好きになった相手には大体相手がいるんです

全てをあなたに

長いキスが終わり互いの唇が離れた。

悠木君は私の髪を撫でながら首を横に傾ける様なしぐさでフッと笑った。

「・・・お風呂はいる?それとも・・・このままベッドへ直行?」

黙って悠木君の言葉に従おうと思っているのに私に意見を求めるなんてずるい。

もちろんお風呂がいい。

全てが久しぶりな私には普段何とも思わないお風呂という単語さえ恥ずかしい。

「し~ま?どっちにする?」

悠木君、顔は笑ってるけど今の私にはその笑顔さえ緊張で視線を逸らしたい気持ちだった。

それでも何か言わないとこの状況は変わらないわけで・・・

「お・お風呂いいですか?」

勇気の一言だった。

「お風呂ね、わかったよ。じゃ・・行こうか」

あれ?今行こうか?って言った?

「あの・・・行こうかって・・・じゃあ悠木君からどうぞ・・」

悠木君が通れるよう通路を開けるよう壁側に寄るとぐいっと手を掴まれた。

「な・・なに?」
< 107 / 125 >

この作品をシェア

pagetop