好きになった相手には大体相手がいるんです
夢かもしれないと自分の頬を両手でパチパチと叩いてみたが

私の横で戸田くんはスースーと寝息までたてて寝ている。


そして私は戸田くんを見下ろしながら大きなため息を漏らした。

そりゃ~大好きな人と同じベッドで朝を迎えることができたら幸せよ。

だけど覚えていないということほど恐ろしいことはない。

もっと怖いのは戸田くんが起きた時なんと言われるか。

そもそもあれだけ詩真の事が好きな戸田くんが望んでこうなったとは

かんがえられない。

だとすれば私が酔った勢いで無理やり襲ったとか?


ないないない!


そんな度胸も体力もない・・はず

でも目覚めに私の下着姿が目の前にあったらどんな顔をするだろう。

きっと想定外の出来事に拒絶反応を起こすのでは・・・

わかっていても目の前でそんな顔されたら私のほうが立ち直れなくなりそうだ

そんなことにならないように一刻も早くまともな格好をしなくちゃと

ゆっくりゆっくりとベッドが軋まないよう細心の注意を払って

私はベッドから降りるとクローゼットからすぐに着れるスウェットのロングワンピースを

頭から被るように着ると足音を立てずに息を殺し、寝室を出た。

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