好きになった相手には大体相手がいるんです
その声はまるで記憶を失くした少年の様(そんな少年に会った事はないが)だった。

きっと希じゃなかった事がショックだったんだろう

「おはよう・・・」

悠木君は声と顔で私の事を認識した様で、バツの悪そうに頭を掻きながら頭を下げてきた。

「ごめん。俺・・・飲みすぎたみたいで・・・」

・・・・まさか私とエッチでもしたのかと思って謝って来たの?

「ごめんはいらないよ。男の人を運ぶのは大変だったけど
謝られる様な事は一切ないから・・・」

そう私の方が襲いたくなったけど悠木君とは本当になにもなかったから・・・

謝るぐらいなら私が襲っておけばよかったとマジで思った。


「でもさ・・・まずいでしょ俺・・・希の友達の家にお泊りとか・・」

あっ・・・そっちね・・・

「それは大丈夫。ちゃんと希には連絡入れたから・・・」

「え?本当?・・・何か言ってた?」


・・・言える訳ないじゃん。

彼女公認で悠木君ゲット~~!・・なんてさ・・・

「・・・よろしくって・・」

「え?」

不安の混じった驚きに希とのやりとりは絶対話せないと思った。

だから

「ごめんね~~。悪いけど雅臣の事お願いできるかな~・・・ですが」

主要な部分だけを伝えた。

「それだけ?」

「うん・・・それだけ」

「・・・・・」

おもしろくないよね・・・

彼女だったら駆けつけるよね・・・・

何となくこの沈黙が私にはまるで関心がない事を教えてくれているようで

胸の奥が痛くなった。

「あっ!今ちょうどカフェラテ入れてたの・・・飲む?」

悠木君は悲しそうなな笑みで頷くとソファーに腰掛けた。


その姿をキッチンからもう一度見て私はふか~~く溜息をついた。

「こりゃ~マイナスからのスタートだよ・・・」 
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