好きになった相手には大体相手がいるんです
翌日、いつものように出勤すると1階のエントランスできょろきょろしている男が一人

・・・・戸田君だった。

やばい・・・昨日、ドタキャンしたし(計画的に)希の話では私の事をいろいろ言っていた様な・・・

ばれないように柱の陰に隠れるようにエレベーターを待った。


どうか見つかりませんように・・・

思いっきり存在感を消したつもりだった・・・だけど・・

ポンポンと誰かが私の肩を叩いた。

げっ!ばれた・・・

いい訳なんか何も考えてなかったが、柱に隠れている時点で既にバツが悪いと言うか・・

ここはとびっきりの笑顔でごめんなさいしかない。

私は何もなかったかのようにとびっきりの笑顔で顔を上げたが・・・

目の前にいたのは戸田君ではなかった。

「ゆ・・悠木君?」

肩を叩いたのは悠木君だった。

しかも彼は口に手を当てて笑ってるし・・・

悔しいけど手を当てながら笑う悠木君もかっこいい。

何やってもかっこいいんだけど・・・でも笑いすぎなんですけど...

「おはよう詩真ちゃん・・・やっぱり君は裏切らないね。
 朝から何で隠れてんの?」

よほど私の隠れていた姿がツボだった様だった。

「あはは・・・ちょ~っと会いたくないなーって人がいたっていうか・・・」

悠木君はきょろきょろとあたりを見渡した。

「もしかして・・・・彼かな・・?」

悠木君の向いている方向がちょうど戸田君のいる方向と同じだったので

私は頷いた。

「・・・・・って言うかあれ?希?」

希?・・・・?

私は悠木君の陰からこっそり戸田君のいる方を見た

そこに戸田君と一緒に希の姿もあった。

悠木君は黙って2人を見ていた。

もちろん私は2人を見ている悠木君を見ていた。

その表情は怒っているでも悲しんでいでもない様に見えて少しホッとしてる自分がいた。

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