好きになった相手には大体相手がいるんです
「それで?」

なんか尋問を受けているみたいで複雑だ。

「・・・・お互いの恋がうまくいくようにー」

「協力している訳だ・・・」

「・・・・うん」

なんか自分が悪い事している様な気分になり悠木君の顔が見れない。

悠木君は黙っていた・・・

でもその沈黙が怖かった。

なにか言わなきゃそう思って

「で・でも、私は悠木君と希が別れたって知ったから・・・・
 だから、もし悠木君が希と別れなかったらずっと黙っているつもりだったの。
 悠木君、希の事大事にしていたの知ってたし、太刀打ちできないのも知ってた。
・・それに希との関係を失いたくなかった・・・」

この思いに嘘はなかった。

本当に二人が付き合っている間は好きだなんて言うつもりなどなかった。

「詩真ちゃん・・・」

悠木君に名前を呼ばれても顔を上げる事が出来なかった。

「・・・・なに?」

泣きたい気持ちをぐっと抑えた。

「好きなのに・・・ずっとその気持ちを抑えてたんだ・・・・俺がもし
希と結婚するって事になってもその思いを口にするつもりはなかったんだ・・・・」

唇が小刻みに震える。

もし、このまま声を発したら泣きだしそうで頷くことしかできなかった。
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