好きになった相手には大体相手がいるんです
話って・・・きっとこれで終わりにしようって事に違いない。

私よりも長く付き合ってきた希の事が忘れられないから

ごめんって言うに決まってるーっ!

ごめんねなんて聞きたくない。

「来ないで!」

まるで叫ぶように悠木君の歩みを止めようとした。

でも悠木君は歩みを止めず私の目の前まで来た。

「昨日、詩真は俺の目には詩真じゃなくて希が映ってる言ったよね。
でもそれは違うよ。俺の中に希はもういない」

私の目を見つめ力強く言う悠木君は真剣だった。

嘘を言っている様には見えないけれどわたしにはそれが信じられなかった。

「嘘よ!だって昨日の悠木君を見ていればわかるわよ」

悠木君は大きく溜息をつくとへなへなと床にしゃがんで頭を抱えた。

何が何だかわからない。

頭を抱えたいのは私の方だというのに・・・

「あれはさ~違うんだよ。恥ずかしいけど久しぶりに会った希が俺を目の前にして
別の男に一生懸命自己アピールしている姿を見て驚いたんだよ。
普通、あんなにアピールするか?目の前に元彼がいるって言うのに眼中に全く入ってない。
それどころか俺と付き合っていた時希のあんなキラキラした顔みた事
なかったんだよ。なんだか俺って何だったんだ?って思えてさ・・アホらしく思えて」

でも私はそれを素直に受け入れられなかった。

もしそうだとしても

だったらなんで急にホテルに誘ったのよ。

今まで2人きりで何度も過ごしたけど

キスだってまだなのにおかしいじゃない。
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