好きになった相手には大体相手がいるんです
「じゃあ・・・なんで・・ホテルへ誘ったのよ。キスもしたことないのに」

悠木君はゆっくりと顔を上げると私の目をじっと見つめた。

「あいつがあんなに堂々と別の男にアピールしてるなら、俺だってもう
迷うことないって思ったんだよ!」

「え?」

「希と別れて次は詩真にって乗り換えたみたいなのは嫌だったんだ。
 詩真の真剣な気持ちはわかってたし、俺もその気持ちにちゃんと
 応えたかったからより一層慎重だったんだ」

悠木君からの言葉は私が想像していた事の真逆だった。

それでも信じられない気持があるのは

あまりにも好きすぎたからなのか、それとも片想いが長すぎて

素直に受け止められないのか・・


「嘘・・・」

「嘘・・じゃないって・・・」

目頭が熱くなって口元に力が入って頬が硬くなる。

なんなのよ!

別に乗り換えでも手が早くても何でもよかったにの!

そこに思いがあればなんでもよかったのに!

そしたら昨日だって突き放す様な事しなかったし

キッチンで泣かなくてもよかったし

こんな伊達めがねかけなくてもよかったのに・・・

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