愛は呪縛
大輝先輩は俺の部活の先輩だった。
先輩が大学に入ってからも仲良かったからちょくちょく会ってたけど…。
俺の本当の目的はゆのか先輩だった。
大輝先輩の彼女だっていうことは高一の時から知ってた。
大輝先輩の部活見に来てたゆのか先輩に恋して、ずっと片思いで。
たまに話したりしたこともあったんだけど、見事にゆのか先輩は俺のこと忘れてたな。
まあ、当たり前か。
今の俺は外見があの頃と違う。
ゆのか先輩が高校卒業してからイメチェンして、黒髪ダサ眼鏡の地味男子から離脱した。
雰囲気を明るくして積極的になろうと頑張ったから、今じゃ男女問わず友達は多い。
「ぜーんぶ、ゆのか先輩のためだよ」
釣り合いたくて。
あの頃の自分と気づかれたくなくて「お姉さん」なんて呼んで。
あたかも初対面みたいに近づいた。
「俺ね、ずーっと待ってたんだ。あいつから先輩を奪うチャンス」
彼女の部屋のドアに囁きながら、俺は昔大輝先輩とした約束を思い出した。