愛は呪縛
目の奥が熱くなってきたけど、泣きたくなかった。
泣いたら、自分がとっても惨めみたいで。
「私は、大丈夫」って何度も心で唱えて。
強がるしかなかった。
荷物を持ってキャンパスから出る。
まだ講義が残ってるけど、出たくない。
初めてのサボり。
どんよりした空を見上げて、大通りを歩く。
確か今日はゲリラ豪雨に注意って、天気予報でやってたな。
なんて考えてから数秒後ポツリ、ポツリ。
「降ってきちゃった…」
折りたたみ傘は持ってたけど、何と無く雨に打たれていたかった。
「早く、帰ろ…」
泣けないよ。
どうしよう。
言われた言葉が胸に突き刺さって痛いのに、叫べない。
ヒドイよ、大輝くんのバカって罵れたら楽なのに。
まだ好きだから、そんなことすらできない。
ただ苦しさが募るだけ。
首を絞められてるみたい。
けど、胸はスースーするんだね。
ぽっかり穴が空いたよう、とか。
そんな手垢のついた言葉が本当に当てはまるなんて…こうなるまで知らなかった。