愛は呪縛


 電車で一駅。

そこに私の借りてるアパートがある。

大学生になって一人暮らしを始めたから、帰っても誰もいない。

暗い部屋に、一人きり。

誰といたいってわけでもないけど、なんだか更に落ち込みそうで、住宅街を歩く私の足取りは重くなった。


電車に乗ってるうちに雨は止んだ。

雲の隙間から覗く明るい太陽の光。

ちょっと立ち止まって、空を見上げる。


後少し行けばアパートに着くけど、どうしよう。

こうして、空を見上げていたいと思うのはどうして…?


ぼんやり佇んでいたら、また雲が太陽を覆った。

呑み込まれてゆく光。

また、雨が降る。


ポツ、ポツと頬に触れるそれは、さっきより小雨だ。


やっぱり、家に帰ろう。

どこにいたって、何を見てたって、今はきっと…纏わり付く苦しさからは逃れられない。


一歩を踏み出そうとした時だった。


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